付加価値を付けるのが難しい現実
花屋を始めるにはライセンスが必要ありません。
なので一見同じに見える花屋でも技術や知識、経験に雲泥の差があると言えます。
国家検定を始め、フラワーデザインやいけばなの技術を身に付けている花屋も居れば、ただ買ってきた花に手数料を上乗せして、独学の作り方で販売しているだけの花屋もいます。
当然仕上がりや日持ちなどに関しても差はあります。
しかし、現実的には入っている本数、ボリューム感だけで顧客から判断される事も多く、ボリュームに対して高い、安いという評価がされがちです。
いくら物が違うと言っても、新しい物であればパッと見た感じ同じに見えたりするのが生花です。
同じ日に貰ったもの同士で比較実験をすれば、病気が出る、または頭が下がる…など安い花を使った方が早くダメになるのが分かりますが、よほどのケースじゃない限り、同じ日に同じような花を貰うという事は少ないので比較のしようが無く、そうなると粗悪品を扱っているショップの方が利幅が大きくなって儲かるといったケースもあります。
良い物を買って、良い条件や水で管理し、技術も身に付けて…と完璧な花屋であっても、その分の付加価値として商品価格が倍近くなる様では、なかなか売り難くなってしまいます。
このあたりは食べ物と違って購入する側もそこまでの物を求めていなかったりする場合が多いからです。
中には高くても良いから、良い物がほしいという方はいます。
ただ、全ての顧客がこの様な意識の人達だけで構成されている必要が出てきます。
その為には自店の顧客と、他の安売りショップの顧客と共存させないくらいに、明確な住み分けができる様にする必要があります。
あの人は高くても良い物、あの人はなるべく安い物…といった相反する顧客がいると、安い物も高い物も両方仕入れる必要性が出てきて、結局ロス率が高くなります。
技術を前面に出しての成功例が少ない
テレビで取り上げられたなどのレベルでなければ、なかなか技術をお金に変えるのが難しい職業です。
仮にテレビで取り上げられたとしても一過性で終わる可能性も高いです。
アレンジメントなどで斬新なデザインは得てして日持ちが悪かったりしますし、長持ちする花材、無難なデザインであれば日持ちはしますが、どこで買っても同じという事になってしまいます。
私はデザインにお金を払ったのだから日持ちには目をつむる…というくらいの意識を持った顧客で構成されているのであれば良いのですが、なかなか全てそうは行きません。
また、そういった顧客で構成されているとすれば、次から次に新しいアイデアやデザインを要求される可能性も出てきます。
変わった物を仕入れようとすれば想像以上に仕入れ単価が高額になる確率も高まりますので、このバランス取りは非常に難しくなります。
正直、花の世界でもコンテストがあって毎年優勝者なども輩出されていますが、世間には一切知られていないのが現実で、世間一般だけでは無く、技術を前面に出したスタイルで仕事をしていない花屋達にとっても、同じ業界内でありながら今年のチャンピオンが誰かすら知らない人が大半です。
長年、業界を見てきましたが、技術を前面に出したスタイルの花屋から先に消えていくケースが多々ありました。
安い物を仕入れて、安く大量に流通させるスタイルの方がお金を残している様に感じます。
こう言ってしまうと夢も希望も無くなりますが、ここは自分のブログですし、忖度して書いても仕方がないので思った事を歯に衣着せずに正直に書くと、こうなってしまうのが今現在の花業界です。
今後、画期的な方法が生み出されれば良いなとは思っていますが…。
工事の仕事の様に「部品代」と「技術料」が明確に請求書に書ける様になれば一番良いのでしょうけどね。
「花屋で技術料なんて取るの?」
と言われるのが関の山で、なかなか辛い業界です。
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