花屋の価格設定について|原価が上がってくると売価の設定が難しくなってくる

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理想の価格と現実の価格の差

花の販売価格に関してですが、昔から理想の販売価格は原価の2~3倍と言われています。
それくらいじゃなければロス分まで含めると元が取れないという事です。

この辺りは、良く売れるショップと回転率の悪いショップでは若干の開きがあります。
売れるショップは多少掛け率を下げる事ができますし、それによってさらに回転率が上がるからです。
そして、実際にはその理想の掛け率で販売し続けるのは難しいのも事実です。
例えば理想とする金額で、通年店頭にある品種の価格として提示すると

菊(一輪ものの大菊) 250円~400円。
スプレーマム(多輪の菊)200円~350円
バラ(一輪物) 2Lクラス(約70㎝~80㎝) 350円~800円
オリエンタル百合(大輪の百合)700円~2,000円
カーネーション 200円~400円

地域差や扱う商品のレベルの差はあるでしょうが、大体このあたりに収まってくるのではないでしょうか?

花という商品は刻一刻と劣化する物なので、何日か経った場合、原価に近い価格で投げ売りしてでも元(仕入れ原価)を取りに行きたくなってしまいます。
レベルの高い産地が作ったしっかりとした物であれば、多少咲いてきても鑑賞期間は長く楽しめるのですが、咲き始めるとどうしても店頭で売り難くなるので、早めに安価で販売してしまいがちになります。

これらの条件を踏まえ均して見てみると、実際の販売価格は原価の1.5倍~2倍くらいになってしまい、結局薄利多売で儲けが少なく、また多売であればこそ何とか利益は出るものの、薄利少売であれば赤字になってしまいます。

こうしてみると本当に花屋という職業一本で食っていくには厳しい現実があるという事が分かると思います。
食べられない生ものほど商品として扱いにくい商品はありません。
だからこそ大手の参入が少なく、細々であれば暮らしていける業界になっているとも言えますが…。

市場に買い付けにくるオジサン達は

業界内には花屋以外の収入源を持っている人もいて、そんな方々はキチンとした身なりで仕入れに来ますし、実際に花屋をやらなくても全然余裕で食っていける人達もいます。
しかし、生粋の花屋で、地方で細々とやっているオジサン達は、ヨレヨレのシャツにクタクタのズボン、ボロボロの靴…で毎回仕入れに来るなんて人も結構います。
ヨレヨレ、ボロボロでなくても、それってどこで買ったの?みたいな柄やメーカーの物を着ている人も多いです。

見るからに食っていくので精一杯な感じで、ファッションなどは二の次な感じがしてしまいます。
身に付ける物やファッションへのこだわりなどは、個人の考えなのでそこまで干渉しないまでも、これではお洒落な物を求めるお客さんは絶対に来店しないだろうな…と思ってしまいます。

けれども、年収200万円つまり月収18万円くらいでは、生活必需品以外に遣えるお金はあまり無いのが現状です。

なので、本来であれば少しでも高く販売ができる様に業界全体で考えていかなければならないのですが、生産者、市場、花屋は同業種と言ってもお互いに利害関係にある立場でもあるので、一枚岩になるのはなかなか難しい問題なのです。

「生産者と市場が儲かる」=花の価格が高騰する→花屋が困窮する。
「花屋が儲かる」=花の価格が暴落する→生産者と市場が困窮する。

この関係性である以上、本当であれば全力で「三方良し」を模索して、お互いに良い関係性を構築していく必要性があるのですけどね。

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