花より団子はより顕著に
「花より団子」
花を眺めるよりも団子を食べた方が良いという堅実的な実利重視の様を例えた言葉ですが、今のご時世これだけ不景気が続けばより現実化してきます。
給料前に手持ちのお金が残り5,000円となった人が、残りの3日間を過ごす為に花を買うのか?と聞かれたら、よほどの事が無い限り食品を購入する事でしょう。
今年は夏の暑さで米が不作で少なくなりました。
米であれば多少高くても、近くで売っていなければ少しくらい遠くに出向いてでも購入しようとするでしょうが、もしそれが花であったらそこまでして購入しようと思うでしょうか?
花は衣食住が満たされた人が、さらなる精神的な満足を求めて購入するものです。
または律儀な人が、月命日や盆、彼岸などに、または友人の一周忌や三周忌などのお供えに購入したりするものの、得てして優先順位としては衣食住の後になります。
花屋(フラワーショップ)は、その必需品以外のアイテムを日々販売して生活していかなければならない厳しい業界になります。
過去のメインとなっていたブライダル(結婚式)や葬式などの業務が
過去にはホテルと提携して定期的に納品があったブライダル関係、葬儀社と提携して納品していた葬儀関係が完全に縮小モードに入ってきました。
ブライダル関係に関しましては、既に友人達だけで行うパーティースタイルが増えてきており、大規模な披露宴という形式が減りつつあったところに、「新型コロナ」にトドメを指される様に「延期」や「キャンセル」が相次ぎ、メインとして納品していた花屋は仕入れしたものの、延期によって一旦購入した花の廃棄を余儀なくされ、再度納品しても赤字という事態が相次ぎました。
キャンセルであればキャンセル料が発生するのでまだ良いですが、延期と言われるとどうしようもないという事でした。
この新型コロナ過で力尽きた花屋さんも結構見てきました。
ただ、今でもこれらの業務に特化して営業している花屋さんもいる事は確かです。
これから結婚される二人の晴れの日を演出する事に喜びを感じている方、ブーケや会場装飾に自信がある花屋さんはこの世界を選択するケースがあります。
- 婚礼の簡素化、小規模化。
- 近しい関係の人達だけとのパーティースタイルの結婚式の増加。
- 式を挙げずに入籍と写真撮りのみで済ませるケースも増えた。
葬儀に関しても、団塊の世代ジュニア達が死に絶えるまでは安泰と言われていましたが、やはり新型コロナによって縮小化が進み、コロナ騒動が終焉しても縮小したままになっています。
恐らく、この縮小したままの葬儀スタイルはずっと続いて行くものと思われます。
また、国民が長寿になった事で、元経営者(社長)がかなりの高齢になってから亡くなる事も多くなりました。
以前は60代や70代で亡くなる方も多く、現役社長だったり、退任して数年後くらいに亡くなる事で大規模な葬儀が執り行われる事も多かったものです。
やはり周りの方にとっても、亡くなった社長との関係性が濃い段階だからです。
それが現在では、80代や90代で亡くなる事が増えた為、引退してから20年以上経ってから亡くなる事で、コンパクトな家族葬で済ませるケースも増えてきています。
参列するだろう元社長の関係者の方々も、既に高齢になっているので、施設に入っていたりで参列できない場合が多いからです。
30年前の花業界ではブライダル(婚礼)と葬儀用が最も高額商品でした。
しかし、現在ではかなり縮小された業務になりつつあります。
ピークの時代は、一日に数件分の結婚式を入れ替えてやるなんて事もありましたので。
その辺りの高額取引が減少した現在では、低単価の自家消費用やギフトだけでは社員の給料を払いつつ、花屋の経営を続ける事は難しくなってきています。
ただ、自分一人だけや夫婦での経営、または自分と娘一人とで…とかであれば何とか食べていく事は可能です。
この何とか食べては行ける…という環境をどう捉えるかが焦点となります。
花が好きだから食べてさえ行ければ良いと思うか、これだけ気苦労をしてやっと食べて行けるのでは…と思うかという事ですね。
どの業界にも効率の良い年商のラインがあります。
業界ごとに違いますが、大体効率の良い年商というものが、各業界ごとに存在します。
それが業界の「平均年商」に近いという事になります。
花業界の平均年商は、約2,300万円になります。
一ヶ月で200万円弱といったところでしょうか?
まあ、食べ物でもない「花」という商品を一ヶ月で200万円売るのは大変ですし、皆さんよく頑張って売っていると思います。
とは言っても、「平均」というものは「中央値」とは違うので、正確には表せていない感じがします。
実際に業界を内側から見てきた自分の意見としては、1,000万円~1,500万円の人達が多く、一部の大企業が数億円売っているという感じでしょうか。
なので、実際には町の花屋さんの年商は、「1,000万円~1,500万円」くらいだと思います。
これを月商に直すと「80万円~125万円」、このあたりが現実的な数字かと思われます。
なので、これから花屋を開業しようと思っている方は、先ずはこのあたりの数字を目指せば良いかと思います。