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花屋さんは実際のところ儲かるのか?ケースバイケースではありますが…。

目次

大儲けは難しい。上場企業が無いという現実が物語っています。

「ズバリ言って花屋は儲かるか?」
とハッキリ聞かれたら、それほどまでは儲からないとしか言えません。
食べていくくらいなら可能かと…とは答えられるでしょうか?

この「食べては行ける」という事をどう捉えるかにもよります。

心底花屋が好きでやっているのであれば、好きな仕事をしながら食べて行けるだけで十分に良い人生と言えるでしょう。

反対に利益を目指すビジネスとして「花屋」を始めた場合は、もっと効率よく利益が出せるビジネスは他にいくらでもあると言えます。

現実的な花業界の年収事情。

一部のかなり利益を出している方にとっては反論したくなる内容かもしれませんが、地方の花屋の事情を色濃く知っている私の見聞きした現実的かつ平均的な話しをします。

基本的に花屋の年収は国民の平均所得額と照らし合わせた場合、ほとんどの人が平均を下回っていると思われます。

スタッフ全員が年収500万円以上なんてのは、夢のまた夢です。
地域差はあるかもしれませんが、地方であれば正直言って社長ですら年収500万円を取っている花屋は少ないのではないでしょうか?

まあ社長がかなり経営手腕のある「やり手」で、戦略的に役員報酬を高く設定し、もしもの事態に備えて個人資産としての内部留保しているケースなどであれば、額面上の年収は高くなる場合はありますが。

ついネガティブな意見になってしまいましたが、実際にこの日本人の平均年収以上をスタッフに支払っているフラワーショップがあったら申し訳ありませんm(__)m

東京都心部の立地条件が良いエリアで、良い法人や顧客との取引が中心のビジネスモデルであれば、スタッフも年収500万円は可能かもしれませんね。
但し地方では、ほぼ不可能かと思われます。

それでは社長の年収は?
先ほどの戦略的に役員報酬を高く設定しているのであれば、額面上では平均年収以上になる場合もあるでしょう。
しかし大半の花屋の社長は一般サラリーマン並みか、それ以下というのが実情です。

会社が大幅な黒字経営であるならば、役員報酬を高く設定することで利益が縮小され税金対策になります。

さらに法人税の代わりに個人で所得税を支払うことにはなりますが、何と言っても個人に支払われる役員報酬であれば「給与所得控除」が使えますからね!

まあ、経営者は按分として経費が認められているので、通信費や電気代、ガソリン代や車両費などは公私混同で何となく少しは得してる気分は味わえるかもしれませんが、実際の所得金額としてみたら一般サラリーマンと比較してもかなり少ないのが現状です。

収入源が花屋経営一本ではなく他にもあり、花屋からの収入はそれらのうちの一部というのであれば羽振りの良い人もいますが、生粋の花屋は日本の平均年収まで届かないのが現実です。

注文からの儲けを、実際のご注文のケースでシミュレーションしてみると

例として、誕生日用のアレンジメントのご注文を頂いたとします。
さらに取りに行けないので配達してほしいという依頼です。
現在ではさすがにもう少し単価は上がっているかもしれませんが、つい最近までは3,000円の商品はスタンダードな価格帯でありました。

金額は3,300円(税込み) お届け時間 午前中希望。

花屋の配達の特徴として、自分が使う為に注文をする「自宅用」の他に、「ギフト用」としての配達があります。

ギフト用だとしても自分の奥様へのプレゼントなどであれば「自宅用」と一緒になりますが、通常のギフト用の配達は「注文主」と「配達先」が違うという場合がほとんどです。
自宅へのお届けであれば、注文主本人やその家族へのお届けなので、お届け時の在宅率は高くなります。

今回の例の場合は、「ギフト用」としての配達依頼と仮定します。

注文主の希望として、できるだけ早めに届けてもらいたくて午前中の配達を希望したとしても、お届け先の受け取り人が午前中に在宅している保証はどこにもありません。
そこで在宅確認の電話をしますが、最近は特殊詐欺の被害が多発しているお陰でなかなか電話にすら出てくれないケースが多くあります。
これに関しては受け取り先の年齢が高ければ高いほどこの傾向にあります。
家族から「家にかかってくる知らない電話には出るな!」と言われているからです。

やっとの事で何とか携帯電話に出てもらえても、出掛けていたり仕事に行ってたりして、夜の7時以降にしか家に戻らないと言われたりもします。

ここで、元々は午前中の配達予定だったものが、いきなりPM7時以降の配達に切り替わります。
御祝用の配達の場合、お届け先が家族でお祝いの食事に出かけている場合もあり、尚のこと配達時間が遅くなる確率は高くなります。

依頼主の希望と配達先の都合が上手く折り合わないのがギフト用の配達の泣きどころです。
誕生日などの場合は、どんなに遅くなってもその日に納品しなければ意味が無くなってしまうので、ずっと待機することになります。

アレンジメントや鉢物であれば、配達先の方が帰宅するまでそのまま保管も可能ですが、花束などでしかもラッピングまで終わっている場合は一度ラッピングを外して花瓶に入れ、配達時に再度ラッピングをすることになります。

「置き配でも良いよ。」
と言われても、真夏や真冬、また強風の日などは玄関先に置いてくることができないのが、生モノ商売の辛いところです。

何故か花屋は「そこを何とかお願い!」で押し切られることも多いという不思議。

さらに花屋あるあるの七不思議の一つですが、納品日がちょうど定休日だったとしても、何故か花屋に対しては無理にお願いしてくるお客様が多いのです。
今日が誕生日だから今日でなければダメなので、どうにか引き受けてほしい…と。

仕方ないな~と思いつつ渋々引き受けると、上記の様な「夜まで帰らない」といった状況になるケースが多々あります。
本来であれば定休日だったので、当然ながら自分の予定を入れていたりする事もあります。
用事は午後からなので「午前中であれば…。」と引き受けたのに、届け先に連絡が付くと夜の7時以降しか帰らないと言われ、結局自分の用事をドタキャンして配達…などいう事は花屋をやっていると頻繁に起きます。

そして、この3,300円(税込み)の取引の内訳をシミュレーションすると
粗利益 3,000円×0.4(粗利率)=1,200円 
この段階で1,200円しか残らない訳です。
1,200円ですよ!(笑)
当然、制作に掛かった時間分(つまり技術料)の金額は貰えませんから、もしシビアに計算したとしたらさらにここからマイナスです。

しかも、これは自分一人で取引を完結した場合であって、もしどうしても自分が出席しなければならない用事があったりした場合、当然ながらスタッフに頼む事になります。

本来は定休日だったので、代わりに出てもらっただけで休日出勤分の給料を支払わなければならなくなります。
また、これが定休日ではない通常の営業日だったとしても、営業時間が18時までの場合、実際の納品希望時間の19時までの一時間の残業代とガソリン代でもう既に儲けは無くなります。

これでは仮に500円の配達料を貰ったとしてもとても合いません。
それでは1,000円以上の配達料を別途貰えるのか?という事になりますが、初めから19時以降というのが分かっていたのであれば「夜間配達料」などとも言えますし、営業時間外だからと断る事もできます。
けれども最初は午前中指定の配達で、後から配達先の都合で19時になった場合、なかなか後から追加で配達料を請求できないのです。

このような仕事をいくら積み重ねても、微々たる利益になるのはお分かり頂けたかと思います。
と言うか、1,200円の為にここまでのサービスしますか?ってな話です(笑)

本来であれば有無を言わずに断るのが正解なのですが、直接来店していてしかも顔見知りだったりすると無下に断り難いものがありますし、断っても押し切ってくる人もいるのでなかなか難しい部分です。
受けてもらうまで帰らない様な雰囲気を出してくる人もいるので…。

確信犯的な悪質な注文のケースの場合や、とんでもない依頼をしてくるケースもあります。

最終的には夜間配達は一切やらなくなりました。
それは23時にオープンするガールズバーだと知っていながら、19時配達で依頼してきたりするケースもあったからです。

確信犯的に23時では受けてもらえない事が分かっているので、いかにも19時にオープンする的な雰囲気で注文をしてくるのです。
これは当時加盟していた「花キューピット」の取引でもありました。
今は大分緩和された様ですが、当時は納品完了しなければ仕事が終われないので、何とか23時に配達完了なんて事もありました。

また、とんでもないケースとしては
「誰よりも早く誕生日プレゼントを贈りたいので夜中の「0時1分」に○○というスナックの△△さんにアレンジメントを届けてほしい…。」
なんていう事を平気で言ってくる人もいました。

嘘みたいな話しですが、これらは全て実話です。
これに近い例まで含めたら、これまでの経験上いくらでもとんでもない事例が出てきます。

これらの仕事を5,000円、10,000円(当然粗利は半分以下)でやりますか?という事です。

来店して頂いたお客様が、店内にある在庫の物を買って自分で持ち帰ってくれる。
これが基本であって理想です。
正直このスタイル以外にしっかりと利益を出すのはなかなか難しい仕事です。
特に人件費や燃料費が上がった現在では尚更顕著になってきています。

また、特別な花材や色の注文も厄介な仕事の一つです。
仕入れには品種ごとに最低ロット(必ず買わなければならない本数)があるので、品種や色の指定があって本数が少ない場合は、その注文を受けた段階で少なくともその注文分としては赤字が決定します。

「赤バラ19本に白バラを1本入れて20本にしてほしい。」
などと言われたら、赤バラ20本と白バラ10本を仕入れることになります。
この本数であれば仲卸市場からの購入になりますので、一本200円で赤バラ20本と白バラ10本を仕入れたら

200円×30本=6,000円。
消費税が入れば6,600円になります。

バラを1本400円で売ったとすると400円×20本=8,000円
消費税を入れて8,800円です。

つまり1本400円で売ったら粗利は2,000円+消費税になるという事です。
それでは仮に

1本500円で売ったら10,000円で粗利は4,000円+消費税。
1本600円なら12,000円で粗利は6,000円+消費税。

と幾分、粗利は増えますがその少し増える粗利益の代わりに
「あの店は高い!」とか「ボラれた!」なんて事を言われたら、雀の涙ほどの儲けしかないのにたまったもんじゃありません(笑)

また都心部ならいざ知らず、地方の花屋が1本500円~600円以上でバラを販売できるのか?
またその金額でお客さんは納得するのか?という問題が出てきます。(特に田舎では)

何とかこの注文を完了できても、白バラ9本と赤バラ1本が在庫として残ります。
うまく他の注文が入って使えたり、来店されたお客様が購入してくれれば何とか損はしないという事になりますが、そんなに上手くさばける事は稀です。
これが品種や色指定のある注文の難しさになります。

注文品は、本来であればおまかせ以外は通常の売価の1.5倍~2倍くらいの金額を頂かなければ儲からないのですが、なかなかそこまで取れないという現状があります。

また花屋の心理として、買ってきた時から刻一刻と劣化が始まる商品なので、ロスしたくない気持ちが先立つと、どうしてもできるだけ安価にして全部さばいてしまいたくなる心理も働きます。
ここをグッとこらえて注文価格をしっかりと提示するなど、本当にシビアに管理しなければ儲けることが難しいのが花屋の経営になります。

この様に利益追求型のビジネスとしては、花屋という仕事は向いているとは言えません。
やはり薄利でも食べて行けるから良い、花屋仕事が好きだから良い…と思える人の仕事だと言えます。
仮に自分がそういった意識であっても、後継者も同じ考えとも限りませんし、事業承継するにも何かと難しい商売であるとは言えるでしょう。

もし花屋を起業してみたいと思っている方は、必ずこの部分をよく考えてから行動に移すことをお勧めします。

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この記事を書いた人

55歳で人生の第一章を終わらせ、これからの第二の人生を模索中の元経営者。
約40年花の仕事に携わり、20年の社長業を経て、黒字経営のままで廃業した経験を元に発信します。

これからの時代を生きる若者たちが、今後は自分で起業するのが良いのか?それとも会社に勤めるのが良いのか?
と悩んでいる場合の参考になれば良いなと思っています。

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